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公開日: : 最終更新日:2018/08/20

ポイントカードマーケティング論 そのⅣ

政府は、2018年6月15日の閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2018」を決定、少子高齢化の克服と持続的な成長戦略の実現を目指す政策が発表されました。

詳細は内閣府のホームページを参照して頂ければと思いますが、その中に「マイナンバーカードと実証稼働中の自治体ポイントの活用によりクレジットカード等のポイントを合算し、地域におけるキャッシュレス化推進の仕組みを全国各地に導 入・展開する。」と明記された一節があります。

もう少しかみ砕いて言えば、クレジットカード会社などポイントを発行している事業者に協力を得て、そこで発生する未償還のポイントを新たに設ける自治体ポイント口座に寄付してもらい、そのポイントと地元のポイントを合算して地域の中小商店街などで買い物に使える仕組みです。

総務省資料より

元々は、高市元総務大臣の肝いりでタートした政策で、担当の官僚も相当に力の入った取り組みをしているなと直接会った時に感じました。

キーになるのが総務省らしくマイナンバーカードです。図の中で説明されているとおり「マイナンバーカードを様々なサービスを呼び出す共通ツールとして利用するための情報基盤」をマイキープラットフォームと呼んで、実証実験が、平成29年9月から順次スタートしています。

詳しくは総務省のホームページなどを参照してもらえればと思いますが、興味があれば

マイキープラットフォームポータルサイト

自治体ポイントナビ(平成29年9月25日0時から稼動)

上記リンクから実証実験に参加も可能です。

いずれにしても政府は本格的にキャッシュレス化を実現する政策の一つとして、地域の商店街にクレジット端末設置促進の一環としてマイキーポイント利用加盟店を増やす狙いがあるようです。

マイキープラットフォームの説明を全て行うには紙面が足りませのんでここらで本論に入ります。

航空会社のマイレージ戦略を理解する。

どうしたらマイレージが効率よく貯めることができるのか。マイルとポイントの交換で、最もお得なポイントサービスはどれ。できればお答えしたいのですが、それは航空会社のホームページや数々あるWebサイトにお任せし、ここではビジネスよりの話をしたいと思います。

日本の代表的航空会社であるJALとANAにおいてマイレージ戦略は顧客マーケティング戦略の中で重要な位置を占めています。それは昔も今も変わりはありません。

ただし市場の変化、イノベーション、企業を取り巻く環境等により、「マイルを貯める」「マイルを使う」という基本サービスの内容、とりわけ提携関係などの停止や変更が行われ、現在は提供されていないコンテンツもあります。

少し古い資料(特定企業の資料に関しては、時間が経過し、問題はないと判断したものに限定)ですが、上記2社のマイレージの取り組みを紹介しながら、マイレージビジネスについて探ってみたいと思います。

企業ポイントとマイレージのどこが違うのか

nanacoポイントやWAONポイントなどの企業ポイントと航空会社のマイレージとはどこが違うのか、まずは会員対象であること、買物金額やフライト料金などに応じて発行されること、貯まった数量に応じて買物やフライト料金に利用できることなど、基本的なスキームには違いが見られません。

ではどこにあるのでしょか。そのヒントが次の図です。

この図で明かのように、一般の企業ポイントと違う点は「マイルを使う」時点で発生する付加価値の存在です。

①「マイルを使う」をフライトに使う時点で、実質の還元率が大幅にアップする。

多くの企業ポイントは1ポイント=1円に相当する利用や、カタログ賞品(定価ベース)での提供が主流で、使うことで還元率が大幅にアップするサービスは少ない。利用者にとっても大きな魅力となります。これもフライト料金の構造ならではのサービスと言えます。

②「マイルを使う」をフライトに使う時点で、航空券をひとつ上のランクにグレードアップできる。

ビジネスクラス、ファーストクラスといったグレード方式の付加料金サービス方式を採用している航空会社でしか提供できないサービスです。

普段であれば利用するのに高額な料金を支払わなければならないのですが、マイレージの利用でグレードアップの席が利用できるわけで、利用者にとってはとても魅力のあるサービスです。

やはりマイラーと呼ばれるコアなマイレージファンが誕生するのもうなずけます。フライトでのマイレージ特典を、以前(2000年代前半)のANAマイレージの例を参考までに紹介します。(既に終了・変更している内容もあります)

ANA資料を参考に作成  カード戦略研究所

事業、収益という側面から果たして航空会社にとって採算は合うのだろうとの疑問も残ります。そこで航空会社のマイレージビジネスの収益性に関して、もう少し深堀したいと思います。

マイレージの収益構造を理解する

マイレージの収支に関しての詳細は、関係者以外正確なことは分かりませんが、独断と推測でアプローチしたいと思います。

マイルの基本スキームは、各社大きな違いはないと思われます。フライトでの発行・利用以外に、外部企業と特約店契約やパートナー契約を結びマイルビジネスを展開、収益の基盤としている点も類似しています。ANAの例をスキーム図にしてみると。

この図から収益構造の特徴を考えると

  • ①契約企業にマイル(1マイル=数円)を販売、ANAはフライトでの利用、提携先のポイントや電子マネー等との交換に対してマイルを充当する。
  • ②マイルの販売収益-マイル利用=差益が成立するスキームを確立
  • ③ただし、このスキームに参加するANA・会員・提携企業が、それぞれにWIN-WIN-WINの関係が成立するスキームを運営。

といつた点があげられます。

では、他の2社が本当にWIN-WIN-WINの関係を築けているのか。

会員

最もメリットを受けていますが、ただしビジネス上のメリットではありません。

提携先企業

特約店:航空会社の特約店になることで、店舗価値(信頼度・知名度等)を上げ、会員の来店を促す⇒ストアロイヤルティの向上

PTN:自社カードのサービス強化⇒競合対策、リテンション

  • ポイントサービスの魅力づけ
  • 電子マネーの利用促進

自社会員サービスの強化⇒リテンション、上位階層へのアップ

加盟店、提携企業により享受するメリットは異なりますが、仕方なくというスタンスでもWINを否定する関係ではないと思われます。

特約店やパートナー企業の本心は、もう少しマイル負担が軽減されればとの願いはあると思われますが、さりとてそれを説得するだけの航空会社側へのメリットを提供できるのかと問えば答えはないようにも思えます。

さらに航空会社にとって最も特徴的なマイル収益は、マイルでフライトを利用する場合のマイル原資です。

まず1マイルに付き数円の原資が航空会社に入ります。フライト利用に関しては、原則「空きシート」が対象となります。飛行機は空席であろうがなかろうがフライトします。

ですから空席に関係なくフライトコストは掛かり、マイルでフライトする会員に掛かるの実コストは極めて低くなると推測されます。

具体的に言えば、1ポイント=1円のポイントでは、ポイント原資も1円(あるいそれに近い)、マイレージの場合に、フライト利用ではマイルの原資は、食事代とサプライ品などに限られ、数万マイルのフライト料金の10分の1にも満たないとも考えられます。

この基本スキームの原則を崩さないように、航空会社のマイレージビジネスの提携関係は、「航空会社への還流」が多くを占め、一部の企業ポイント、電子マネーを除き「相互交流」は極めて少ない状況となっています。

JALのJMB(JALマイレージバンク)では、JMBモールを開設し、モール掲載企業からは、初期費用(作成費)や出店費用(月額)、それとマイル費用を徴収、店舗では個別にアフィリエイトに関連する諸費用も発生することになっているようです。

この構造はマイレージの税務会計処理においても、ポイント原資の評価、引当金、損金算入(国際会計基準)にとっても有利に働く可能性があります。ただし、この件は国税庁、税務署のマターですので、これ以上は踏み込みません。

「相互交流」提携のねらいを理解する

マーレージと電子マネーの相互交流は、ANAマイレージとEdy(現楽天Edy)の提携に始まり、次いでJALマイレージとSuicaの提携が続きました。

現在、前者の提携は終了しましたが、JALとJR東日本の提携は、「乗る」ラインを空、陸で押さえ、面(街)への展開が容易に想像できる関係と期待もされました。当時の資料を振り返ると提携のねらいがうかがえます。

JAL・JR東日本資料を一部加筆 カード戦略研究所

JALとしては、マイルをフライトに利用するのには相当数貯めなければならず、未達のまま消滅したり、旅行に行く機会がなく有効期限がきて消滅してしまう会員に対して、使い勝手のよい電子マネー(IC乗車にも利用)にも交換し利用できるようにしました。

当初、それぞれの当事者とも会い話をしたことが懐かしいのですが、その折にポイントをマイルに移行するコアな顧客は多いと思うが、マイルを電子マネーSuicaと交換する会員はどの程度いるのか「期待はしますが、期待通り増えるのか疑問もある。」と投げかけました。

しかし、それも杞憂で、マイルから電子マネーに交換する会員は順調に推移しているとのこと。JALからみればコンペチタ―と言ってもおかしくない鉄道事業者のJR東日本と契約することで、全国の交通系電子マネーのインフラと新たな関係が築ける結果となったことは、マイレージのシナジー効果と判断してもよいのではと思います。

強者のマイレージと強者の電子マネー(ポイント)とのアライアンスは1+1が、3にも5にもなる効果を生み、新たな可能性を創造させると教えています。

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