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ユーシーカード

まえがき

ユーシーカードとDiners Clubとには共通点が一つあります。それは、「本体は消滅しても名は残る」ということです。Diners Clubは御存知のとおり5大国際ブランドカードの一つです。

度重なる株主変更で本体はとうの昔に消え去っていますが、そのブランド名はいまだに使われています(Diners Clubのブランッド名はステータスシンボルとしての知名度が極めて高く、吸収合併した残存会社としてもその名を捨て去ることをためらい、依然として使用していると伝えられています)。

一方、ユーシーカードは世界ではDiners Clubほど知名度は高くありませんが、日本国内では名門安田財閥・富士銀行のクレジットカード会社としてUCカードのブランド名は広くいきわたっています。

両者とも本体は吸収合併あるいは株主変更で消え去っていますが、なぜか名前は残っています。不思議に思い、ユーシーカードに焦点を当てつつ、いろいろな角度からこの問題を考えてみました。

ずばり納得できる答えは見つかりませんでしたが、なんとなくうなずける点はありました。

1. ユーシーカード

ユーシーカード㈱(英文名 UC Card Co. Ltd、クレジットカードのブランド名はUCカード)は、みずほ銀行とクレディセゾン両者の持分法適用関連会社(一種の連結子会社)で、2005年10月1日に設立されたクレジットカード加盟店に関する業務を営む株式会社です。

同社の源流は1969年ユニオンクレジットとして誕生しました。同社は、住友銀行系の三井住友カード、三菱銀行系のDCカード、東海銀行系のMCカードと足並みをそろえた4大銀行系クレジットカード会社と称されていましたが、よく見ると、若干毛色が異なるサービスを提供することができるようになっていました。

会社概要の中に示されている「業務内容」がその違いを明確に示しています。。DCカードと比べてみる次のとおりとなります。

DCカードの業務内容

  1. クレジットカード業務、ローン業務、信用保証業務、集金代行業務、
  2. その他①の付帯業務

ユーシーカードの業務内容

  1. クレジットカードに関する業務
  2. 金銭の貸付並びに信用保証業務
  3. 信用調査業務
  4. 集金代行業務並びにジム計算代行業務
  5. その他上述付帯業務

ユーシーカードの設立経緯を辿ると次のとおりとなります。

1969年 ユニオンクレジット設立
1994年 ユーシーカードに社名変更
2001年 安田ユニオンクレジット(当時、安田信託銀行向けのクレジットカーを発行)    を吸収合併
2002年 第一勧銀サービス、富士銀クレジット(注)、興銀カードサービスと経営統合
(注)2002年3月まで、第一勧業銀行系列のクレジットカード会社として富士UCカード、富士スパークカード、ダイナースクラブカードの発行と同行カードローンの信用保証業務を行っていました。
2005年 UC会員事業会社を設立し、加盟店事業とプロセッシング事業に特化した会社としてスタートさせました。ユーシーカードは、すでに水面下で行われいる合併に備え、本体を新ユーシーカードとUC会員事業会社(注)に2分割したわけです。(注)業務内容は次のとおりです。

  • クレジットカード取扱に関する業務
  • 加盟店事業に関する業務
  • UCグループの運営に関する業務
  • 商品券発行に関する業務
  • 集金代行並びに事務計算代行に関する業務
  • その他関連業務
2006年 クレディセゾン、UC会員事業会社を吸収合併しました。
2007年 みずほ銀行、クレディセゾンと共同してプロセッシング会社「キュービタス」を設立して、ユーシーカードのプロセッシング業務を集約しました。
2008年 クレディセゾンのプロセッシング事業をキュービタスに統合しました。

2. 旧ユーシーカードグループ

1969年6月に設立されたユニオンクレジット㈱が始りです。ユニオンは、設立にかかわった当時の銀行(第一銀行、富士銀行、日本勧業銀行、太陽銀行、埼玉銀行、三菱銀行)によるクレジットカードの共同体を意味しています。

その後、三菱銀行がメンバーからはずれ、三井銀行と大和銀行が加わり、各行のクレジットカード会社が「ユニオンカード」を発行することになりました。

  • 1994年、ユニオンクレジット㈱は、商号をユーシーカード㈱に変更しました。
  • 2002年、同社は、第一勧銀カード㈱、㈱富士銀クレジット、興銀カードサービス㈱のクレジットカードに関する事業(JCBおよびダイナースクラブ関連の事業を除く)を統合しました。
  • 2005年、同社は、クレジットカードの加盟店およびプロセッシングに関する事業を新設分割し、これを新ユーシーカードに譲渡しました。

3. 新ユーシーカードグループ

2005年10月、ユーシーカード株はクレディセゾンに吸収合併され消滅しました。これと並行して、旧ユーシーカードグループが、クレジットカードの加盟店およびプロセシング事業を新設分割し、新ユーシーカード㈱を設立しました。これが新ユーシーカードグループの始まりです。

現在、UCブランドのクレジットカードを発行するクレジットカード会社(UCカードと地方銀行が共同出資して設立した、いわゆるブラザーズカンパニー)は29社あり。日本全国で活躍しています。

4.クレディセゾンによるユーシーカードの吸収合併

2005年11月9日付で発表された㈱クレディセゾンの「合併に関するお知らせ」によって、クレディセゾンによるユーシーカードの吸収合併の全容をまとめると次のようになります。

  1. クレディセゾンは、みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、ユーシーカードと戦略的業務提携を行うことで合意する。
  2. クレディセゾンは、加盟店・プロセシング事業分割後のユーシーカード(UC
    会員事業会社)と合併する。
  3. これにより、クレディセゾンは、セゾンカードとUCカードの両ブランドを取り扱い、流通系と銀行系のサービス機能を最大限に活用することにより、規模のメリットを活かした積極的な営業展開が可能になる。
  4. 合併の方式は、クレディセゾンを存続会社とする吸収合併で、ユーシーカード㈱(UC会員事業会社)は解散する。

5. 安田財閥

安田財閥については、前述した④の「財閥と銀行の発達史」において簡単に触れましたが、ここでもう一度振り返ってみましょう。

1866年(慶応2年)、安田善次郎が26歳で両替商安田商店を開業し、登場したばかりの新政府が発行した太政官札(当時信頼がなく額面割れしていた)を大量に買い入れ、政府の御用商人的立場を築き、1869年(明治2年)の正金札等価通用布告により、巨利を得ました。

1876年(明治9年)に第三国立銀行が設立され(安田善次郎は51%の大株主)、安田商店と並行して金融業務行うこととなりました。

1880年(明治13年)、安田商店は安田銀行に改組され、正式に政府の両替および金銀取扱の御用達となり、無利子で官金を引き受け運用することができるようになり、さらに金融業務を拡大しました。

1896年、営業満期国立銀行処分法が施行され、第三国立銀行は普銀転換(大株主は引き続き安田善次郎)され、「第三銀行」と改称しました。

その後、安田善次郎は1887年(明治20年)安田保善社(現安田不動産)を設立して財閥飛躍への要として、銀行業から鉱山業、鉄道業、倉庫業へと事業を拡大していきました。

これが安田財閥の成長史となります。1909年(明治42年)安田善次郎は引退しました。戦後、GHQは安田保善社を財閥本社と認定、同社と安田家は解散を余儀なくされました。

日本の主権回復後、安田家は復活し、安田銀行は富士銀行を中核とする芙蓉グループを形成しました。安田財閥は同族経営による支配体制を止め、企業集団体制に切り替えました。

6. 第三銀行、保善銀行、富士銀行

2000年12月、富士銀行は、第一勧業銀行、日本興業銀行と統合されてみずほ銀行となりました。前述しましとおり、富士銀行の後ろ盾は安田財閥です。

安田財閥の発展とともに、同行は、浜松商業銀行、毛利銀行、京都大内銀行、日本昼夜銀行、日本信託銀行、昭和銀行、第三銀行など7行との間で合併、買収、業務継承、経営統合などを繰り返し手肥大化、その名称も次のとおり変わっていきました。参考までにリストアップしておきます。

  • 1864年…安田善次郎、乾物商兼両替商「安田屋」を開業
  • 1866年…安田屋を安田商店と改称
  • 1880年…安田商店を安田銀行と改組、政府の「指定金融機関」の地位を築く
  • 1876年…第三国立銀行を開業(安田善次郎、51%の大株主、なお同行は1896年に施行された営業満期国立銀行処分法の施行により第三銀行と普銀転換しました)。
  • 1919年~…第一次世界大戦、関東大震災などで社会情勢が不安定となり、資金力の弱い中小の銀行が信用不安に陥ったとき安田財閥は次ぎの10行を援助、 後日、これらの銀行が大合同して新安田銀行の改組が行われました。
    第三銀行、明治商業銀行、根室銀行、神奈川銀行、信濃銀行
    京都銀行、百三十銀行、日本商業銀行、二十二銀行、肥後銀行
  • 1948年…安田銀行が商号を富士銀行と改称しました
  • 2002年…富士銀行を存続銀行として、日本興業銀行とが合併し、第一勧業銀行よりコーポレートバンキング業務分割継承してみずほ銀行コーポレート銀行が誕生しました(2013年、みずほ銀行がみずほコーポレート銀行と合併し、同行は消滅しました)。

7 .キュービタスの誕生

キュービタスは、UCカードとクレディセゾンのクレジットカードのプロセシング部門を専業とするクレディセゾンの子会社です。

同社設立には、やや複雑な手続がとられました。まず2006年1月、旧ユーシーカードとクレディセゾンは、UCカードのプロセシング部門を新ユーシーカードへ分割しました。(旧ユーシーカードはクレディセゾンに吸収合併されて消滅しました)。

次いで2007年10月、新ユーシーカードおよびみずほ銀行は、業務再編契約を締結してプロセシングを専業で行う新会社を設立することとし、プロセシング業務に特化した完全子会社としてキュービタスを設立、次いで2008年4月、クレディセゾンはキュービタスを分割承継会社とする会社分割を行い、セゾンカードのプロセシング業務をキュービタスに承継させました。

この会社分割によりクレディセゾンはキュービタスの株式51%を取得し、同社を子会社化しました。

8. 企業集団のしぶとさ

前述しましたとおり、ユーシーカードは安田財閥、富士銀行から受け継いだ「企業集団による支配」と「業容拡大」という二つの大方針を脈々と受け継いでおります。

これらの企業群はがっちりとスクラムを組み、平時では決して表には出てきませんが、親分または仲間の一つがトラブルと、みなが寄ってたかって救いの手を差し伸べてきます。

ユーシーカードがビッグバンの影響でクレディセゾンに飲み込まれたときも、既存の加盟店業務とプロセシング業務を行う企業により血路を開いて見事にその名を残しました。

私は、規模も性格も異なりますがBITCOINを思い出しました。BITCOINはネット上の無数のハッカー集団に支えられていくつかのトラブルを乗り越えてしぶとく生き延びています(追記)。

皆さん、これら二つの間にはなにやら類似点、すなわち、「集団のしぶとさ」があるように思えませんか。

(追記) 2015年3月17日の朝日新聞は、楽天が米国向け通販サイトでBITCOINを使って買物ができるサービス始める旨を報じました。年内までにドイツ、オーストリア向けにも始めるそうです。日本国内については未定です。

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