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クレジットカードをめぐる犯罪

1. まえがき

クレジットカードをめぐる犯罪も種は尽きません。後から後から新しい手口と犯人が登場してきます。IT技術の進歩に支えられた情報社会が実現すると、犯罪手口の巧緻さにはますます磨きがかかってきました。

取締法の抜け穴を突く巧妙な手口には敵ながら天晴れと感心させられるものがあります。新手口の登場とそれを追う法律の改正、最近はやや落着いてきているようですが、典型的な「いたちごっこ」が展開された時期がありました。

クレジットカードが登場した1960年代当時のカードの犯罪手口は極めて幼稚なものでした。既存の刑法で充分規制できました。ところが次々と新手が登場し、法の規制に抜穴が目立ち始め、この弱点を狙って第三国の犯罪集団が日本に集まってきました。

彼らにとって「日本は天国」となりました。カード業界の防戦が始まりました。私はその頃、VISAインターついでMasterCardインターに勤務しており、これらの犯罪の動きを肌で感じることができました。

ことに、MasterCard時代には、Security Offiser という肩書きも与えられ、このポストのための特訓も経験するという得がたい機会を味わうことができました。

以下、私のささやかな経験を踏まえながら、クレジットカード犯罪の動きと対策などについて詳しく述べてみましょう。

ただ、犯罪の手口については、真似する人が出てくる人が出てくるといけませんので余り詳細に説明しません。ご了承ください。なお、security offiser時代の面白い話は後で一括してお知らせするつもりです。

2. クレジットカード犯罪はいつごろから始まったのか

1957年に発生したCD犯罪がカード犯罪の第1号と言われています。拾ったキャッシュカードを使ってCDから現金を引き出した事件です。

来日外国人によるクレジットカードのスリ事件は1977年に逮捕されたチリの男性が第1号とされています。最初の偽造キャッシュカードは1981年に発生しました。

3. 犯罪の手口

クレジットカード犯罪は、カードそのものの犯罪とクレジットカードの機能に絡むネット犯罪の2つに分けることができます。

(1)クレジットカード犯罪手口

  1. 拾得物横領
  2. 窃盗、空巣、スリ、ブランコすり、車上荒らし
  3. 昏睡強盗
  4. 詐欺、騙取
  5. 支払能力がないのにクレジットカードを利用
  6. 虚偽申請でカード取得
  7. CD・ATM関連犯罪
    カナテコによるこじ開け、火薬で爆破、パワーシャベルによるATMそものの運び去り、ATM回線のタッピング、不正アクセス、肩越しの覗き見、などです。1981年の近畿相互銀行カード偽造事件や1988年の富士銀行ゼロ暗証番号事件などが有名です。
  8. 集団密航
    蛇頭が大いに活躍した時期がありました。
  9. 個人信用情報の漏洩
    最近、大口の情報流出がメディアで報じられています。
  10. クレジットカードの偽造
    取締りの緩いマレーシアを拠点とする偽造団が今でも蠢いているようです。
  11. 海外で偽造されたクレジットカードを日本国内に持ち込み
  12. ぼったくり
    東京都によるぼったくり条例成立の引金となりました。
  13. 債権譲渡詐欺
    カード会社からカード債権を譲り受けたと言って返済を迫る詐欺行為です。
  14. 勘定のっとり
    休眠口座の名義人になりすまし、クレジットカードの虚偽申請をする手口です。
  15. 郵便抜き取り
    書留郵便制度がない国で頻発しています。
  16. 不良加盟店(員)
    欠陥商品を送る、クレジットカード情報を横流しする、レジにスキマー装置を取り付ける、などの犯行を店ぐるみ、あるいは不良店員が行う手口です。
  17. 名義貸し
    加盟店が自社の名義を、加盟店になれない風俗店などに貸す行為です。
  18. ショッピング枠の現金化、など。
    多重債務者などに不正に入手したクレジットカードを渡し、そのショッピング枠一杯に高級品などを買わせて、これを安値で買い取る手口です。

(2)クレジットカードに関連するネット犯罪の手口

  1. ファーミング
    E-メールを使ってウイルスを送り込み、カード情報を転送する手口です。
  2. フィッシング
    実在するカード会社や大手加盟店などを装ってE-メールを送りつけ、カード情報を盗み出す手口です。
  3. スキミング・・・ATMのカード挿入口に隠しカメラを仕掛け、カード情報を読取        る装置です。
  4. ネットショッピング詐欺
  5. ネットオークション詐欺
  6. ネットバンキング不正引き出し
  7. 不正ウイルスの埋め込み、など

4. 犯人像

たまたま犯罪に手を染めた一般人は別として、ここでは犯罪のプロの顔ぶれを見てみましょう。

  1. 闇金融業者
  2. すり
  3. カード偽造者
  4. コーチ屋
  5. 紹介屋
  6. 回し屋
  7. 名簿屋
  8. 整理屋
  9. 外国人カード偽造団
  10. 蜜入国者
  11. 不法在日滞在者
  12. 偽造カード運び屋、など

5. ペルソナ・ノン・グラータ

外交用語persona non grataのことです。「好ましからざる人物」、「歓迎されざる人物」を意味します。外国人の密入国者、不法入国・滞在者でクレジットカード犯罪をはじめ、あらゆる犯罪にかかわる人物がこの用語に当てはまるでしょう。

蛇頭、専門的なすり集団、カード偽造団、国の内外でパソコンを駆使するネットバンキング犯罪者・カード情報窃盗団などが浮かび上がります。

6. 取締法の抜け穴

クレジットカード取締法の抜け穴と称される局面は、現在ではほとんどふさがれたようです。しかし、1960年から1970代にかけては、野放し、規制対象外、法解釈上の意見対立、罰則が極めて軽微という分野が多く、そこを海外の不良分子から突かれて痛い目にあうことが多々ありました。

抜け穴を法規制が及ばない、あるいは規正法の成立が遅れている空白期間の主なものをまとめてみると次ぎのとおりとなります。

犯罪行為 取締法 空白期間
CD荒らし、偽造カード 刑法 6年間
集団密入国 入国管理法 7年間
偽造カード、スキミング 刑法 6年間
闇金融 ヤミ金取締法 5年間

7. クレジットカード犯罪取締法の改正・新法施行

取締法の改正・成立とその誘引となったカードに絡む犯罪行為の関係をまとめると
以下のとおりとなります。

誘引行為 法改正・成立
CD犯罪 1984年、刑法改正
パチンコカード偽造 2009年、資金決済法改正
暴力団員のカード犯罪参入 1992年、暴力団員の不当行為防止法成立
密入国増加、蛇頭暗躍 1997年、出入国管理法改正
コンピュータ犯罪 2000年、不正アクセス禁止法成立
IT技術の進歩と偽造カード 2001年、刑法改正
偽造カード持込 2006年、関税法改正
個人情報漏洩・窃取 2003年、個人情報保護法の一部成立

7. セキュリティ・オフィサーの思い出

私は縁あって、VISA International ならびにMasterCard International 双方に勤務することができました。当時、日本人でこの経験を有している人はおそらく私一人ではないかと自負しています(現在は知りません)。

このsecurity offiserというポストを通じ、私は大変貴重なそして有意義な経験を積むことができました。面白い話が沢山あります。次ぎの項目「クレジットカードよもやま話」でお知らせしましょう。

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