公開日: : 最終更新日:2014/08/07
個人信用情報機関

現在活躍している個人信用情報機関
個人信用情報の中身
- 個人を特定するための情報(属性情報)
- 契約情報
契約の内容、貸金業者名、契約日、金額、貸付形態、返済回数等 - 返済状況についての情報
- 割賦情報
- 金融情報
- 事故情報 延滞、金融事故等
- 加盟会社による信用情報の使用暦
- 本人申告事項、など
2000年代初期までの個人信用情報機関
上図に示した各機関ごとにその内容を簡単に説明しておこう。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC=全銀協JBAの改組前の名称)
全銀協が運営する閉鎖型の銀行系信用情報機関。
1988年10月設立。会員は一般会員(全銀協に加盟する銀行)と特別会員(一般会員以外の銀行、法令によって銀行と同一視される金融機関、政府関係金融機関、銀行系クレジットカード会社(注)、一般会員の推薦を受けた機関、ゆうちょ銀行)とに分けられる。
注)三井住友カード、三菱UFJニコス、クレディセゾン等の大手クレジットカード会社は、2009年に脱退。 - ㈱シーアイシー (CIC=Credit Information Centyer)
日本割賦協会、日本信用情報センター、全国信販協会の各信用情報機関を一本化して1984年に設立された閉鎖型の信販系信用情報機関。クレジットカード会社、信用保証会社、各種メーカー、リース会社、消費者金融会社、労働金庫等を会員とする。 - 全国信用情報センター連合会 (FCBJ=Federation Credit Bureau of Japan)
1976年設立。1980年、「国信用情報センター」と改称。全国33の個人信用情報機関の連合体。会員は主として消費者金融会社(登録されている街金融を含む)。
会員数は2,500社超。貸金業法改正に伴い2009年、㈱テラネットに事業を引き継いで解散した。 - シーシービー (CCB=Central Communication Bureau)
既存の信用情報機関に加盟できない外資系消費者金融会社等が1983年に㈱セントラル・コミュニケーション・ビューローを設立。2000年に㈱シーシービーと社名変更。
信販会社、一部の金融機関、消費者金融会社、リース・ローン会社が加盟した日本初の業態横断型の独立系信用情報機関。2009年、日本信用情報機構により吸収合併された。 - ㈱テラネット
1990年代後半、全情連に加盟できないクレジットカード会社と銀行系消費者金融会社が、全情連のデータ(借入件数のみ)を参照できるように設立され2000年に運用を開始した信用情報機関。
2009年、商号を「㈱日本信用情報機構と改称した。テラネット加盟会社は、借入人の全情連登録情報のうち借入件数のみを閲覧できる仕組となっている。JCB、DCカードグループ、UFJカードグループ、シティカード・ジャパン、クレディセゾン、イオンクレジットサービス、オーエムしーカード東急カード等が加盟。 - 日本信用情報機構 (JICC=Japan Credit Information Reference Center)
前身は全情連。2009年、㈱テラネットから業務を継承し発足した消費者金融系の貸金業法指定信用情報機関。
会員は、消費者金融会社、商工ローン会社、㈱ジャパン・データ・バンク、クレジットカード会社などで、その他の中小規模の金融会社も一定の条件を満たせば会員となることが出来る。さらに、1990年代前半から入会資格が緩和されて信販会社にも門戸が開放された。会員からの情報がリアルタイムで伝達されるシステムになっているので、他の信用情報機関に比べキメ細かい情報が登録・提供できる点ならびに厳重なデータ漏洩防止・監視策が特徴とされている。 - CRIN (=Credit Information Network)
1987年、大蔵省、通産省の指導の下、全銀協、全情連、日本産業協会によって構築された情報交流ネットワーク。全銀協、CIC, 全情連間の情報(延滞、代位弁済、紛失。盗難情報や同姓・同名の別人情報などの本人申告情報)を交流する。 - FINE(=Financial Information Network)
貸金業法に基づき、CICとJICC との間の顧客の総借入残高データを交流するために2009年8月にスタートしたネットワーク。
個人信用状機関、閉鎖型から開放型への動き
閉鎖型から開放型への動きは以下示すとおりジリジリと進んでいる。
- 1983年、CCB設立
- 1986年、テラネット設立
- 1987年、CRINネットワーク スタート
- 2009年、貸金業法に基づく信用情報機関の指定制度発足
- 2009年、FINEネットワーク スタート
しかし、データ登録基準が各機関ごとに異なることもあり、これらの自由な個人情報交流構想はなかなか理想どうりには進展していないようだ。
2006年以降検討され始められた貸金業法および割賦販売法の改正により、上限金利の引き下げと過剰貸付の防止を目的とした総量規制が導入された。個人信用情報機関が消費者信用市場において果たす役割は今後ますます大きくなっていくだろう。
個人情報保護法と個人信用情報機関
最近、個人情報の大量流出がメディアの格好の話題となっている。個人情報保護法の規制対象の最たるものとして、上述した個人信用情報機関のセキュリティ対策はどうなっているのか。各機関とも次のとおり、それぞれ自主ルールを設け万全の対策を発表している。
- KSCにおける「個人信用情報の保護と利用に関する自主ルール」
- CRINのKSC,CIC,JICC 3社協議会による「情報交流の実施に関する個人情報保護方針」
「個人信用情報機関を開放型にすると、情報流出の可能性が高くなる」という声も聞こえてくる。IT技術がその答えの鍵を握っていると言えよう
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