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クレジットカード業界の登場人物
今回は、クレジットカード業界という舞台に登場してくる役者さんを紹介しましょう。役者、といえば 歌舞伎の花形役者、映画の大根役者、端役、その他大勢、などを思いだす方が多いでしょう。
しかし、カード業界に登場する役者は一部の公権力を持つ監督官庁を除き、皆平等な立場に立ってそれぞれ重要な役割を果たしています。大根役者は余りいません。
強いて大根役者といえば、カード取引の支払を踏み倒し逃げ回るカード会員でしょうか。なお、悪役を演じる役者がいます。これはカード関連の不正行為の犯人です。この人たちについては ここでは取上げません。項を改めて説明します。
それでは、以下に、様々な登場人物を紹介していきましょう。
国際ブランドカード会社
アルファベット順で、American Express東京, JCB, MasterCaerd worldwide 東京, VISA worldwide 東京の4社があります。
法律
クレジットカードを専門に規制する単独の法律はありません。断片的に関係のある主な法令としては、割賦販売法、貸金業法、出資法、偽造・盗難カード預金者保護法、個人情報保護法、サービサー法、不正アクセス禁止法などがあります。
クレジットカード会社
クレジットカード会社が、帰属する業態別に銀行系、信販系、流通系、交通系などに分類されているのは皆さんご存知のとおりです。これらのカード会社は、銀行の再編劇の仲で大きな渦に巻き込まれて変貌を余儀なくされました。
一昔活躍していた大手のクレジットカード会社で、いまでも昔の名前で登場している会社は極めて少数です。ほとんどの銀行系や信販系のカード会社が、銀行の再編から生まれた4つのフィナンシャル・グループの傘下に収まりました。
その詳しい動きについては銀行の項を読み直してください
提携カード発行会社
提携カードとは、自社が直接カードを発行するのではなく、専門のカード会社と手を組んで発行するクレジットカードのことです。
なぜ提携カードが発行されるのか、自社の力ではカードを発行できない企業、発行できてもわざとカード業務を専門業者に任せてカードを出す企業などいろいろな営業政策が入り混じっていると考えられます。
現在発行されているクレジットカードは約3億3,000枚と言われています。カードの種類は無数にありこの3億数千枚のうち、カード会社が発行するカード(プロパーカード)が何枚で、提携カードは何枚か、その内訳は分かりません。とにかく、総発行枚数を押し上げたのがこの提携カードです。
銀行
銀行の再編劇については前述した銀行の項を参照してください。ここでは、ちょっと脱線して、銀行の新しい動きに注目しておきましょう。
金融庁のいわゆるネット銀行を主体とする「新しい形態の銀行」ならびに最近メディアを賑わした「BITCOIN」と「影の銀行」です。正体はつかめませんが、なにやら不気味な将来性を持っているようで目が離せません。
ゆうちょ銀行
政界を揺るがした郵政民営化の動きにについては、ゆうちょ銀行の項で詳しく述べました。郵便局と郵貯カードは、クレジットカード業界の発展に大きく貢献しました舞台の立役者の1人でした。
銀行界からはなにやら今でも敵視されているようですが、日本信販と郵政省が提携した郵貯ジョイントカードとわが国の国内onlyのATMを国際化した郵政省の功績は不滅です。
金貸しの親玉
題目がややどぎつくなりました。日本の財閥もカード業界のひのき舞台で見栄を切った大物役者の1人でした。財閥と金貸し・クレジットカード会社の関係についてはすでに述べました。
また脱線して要らざることをしゃべってしまうようですので、ここでストップします。
クレジットカード会員
一般社会の消費者で、カード会社に対してクレジットカードを申請し審査をパスして、カード会社から クレジットカードを貸与された人のことです。
加盟店
クレジットカード会社の厳しい審査をパスしてカード会社と提携し、商売をして売上伝票(後払い)をカード会社に提出して、すぐ代金を受け取る商店です。加盟店について、3つ面白い話をしておきます。
- カード what ?, カードwho?の話。約50年前、クレジットカードがようやく世の中に登場し始めた頃の話です。
カード会社の営業担当者は、世の中の企業がまだカードの知識を持っていませんでした。百貨店に加盟店契約の話を持っていっても百貨店側はケンモホロロの態度でした。営業担当者は泣きました。 - 個々のカード会社側には「苦労して口説いてやっと加盟店になってもらったのだ。ライバルのカード会社に利用されてたまるか」という気持ちがありました。
囲い込みの気持ちは分かります。しかし、国際ブランカード会社は、この加盟店をすべてのカード会社に開放せよ、と迫ります。両者の間に激しいせめぎあいが起こりました。最後にカード会社側がシブシブ納得しました。 - 不良加盟店というのがでてきました。悪いことをする商店です。この話は後で。
カードの印刷所
クレジットカードを製造する印刷業者のことです。国際ブランドカード会社の厳しい審査をパスし、決められたとおりの設備を施してやっと認定工場としての許可が下ります。Authoraized Printerと呼ばれます。大日本印刷、凸版印刷、共同印刷などです。
決済機関
国際的には国際ブランドカード会社が運営する多通貨決済制度、国内的にはVJA(VISAカード発行会社の統括機関)の決済機構、銀行の自動振替制度などがあります。
インフラ・メーカー
- 信用照会端末機、POS…NTTデータ通信、富士通、沖電気工業、日本オムロン、NEC など
- ATM…沖電気工業、富士通、日立製作所など。テラオカはATMなどの重量物を搬送・設置するノウハウを持つことでが有名です。
個人信用情報機関
貸金業法による指定個人信用情報機関制度の下で、全銀協、シーアイシー、日本信用情報機構の3社とこれらを結ぶネットワークとして CRIN, FINEが活躍しています。
ATM
金融機関、郵便局、百貨店、量販店、コンビニなどに2013根3月末現在で総数188,940台のATMが設置されております。
クレジットカード代行業者
カードの発行業務、決済業務、加盟店開拓業務を本社に代って行う会社です。昔、郵政省が初めて郵貯カードを発行したとき、カード業務はすべて提携したカード会社に任せました。いわゆる「まる投げ」です。高島屋と日本信販とが手を組んで発行したカードが提携カード第1号と言われています。
業界団体
- 全国銀行協会
- 社団法人 全国信販協会
- 全国化資金業協会連合会
- 日本消費者金融協会
- 公金クレジット決済協議会
- 日本クレジット・カウンセリング協会
カードの規格を決める機関
- JIS/ISO
- 国際ブランドカード
- 銀行郵貯ICカード規格共通化検討委員会
業界の監視役
- 警察庁 警察白書
- 警視庁組織犯罪対策部組織犯罪特別捜査課
- 警視庁生活案全部ハイテク犯罪対策総合センター
- 金融庁監査部銀行監督課金融会社室
- 日本カード情報セキュリティ協議会
- PCI DSSの普及と啓蒙活動に従事
回線
クレジットカード取引のデータを運ぶ回線
- 全銀システム
- VISANET
- CARDNET
- CAFIS
- NTT回線
ATM回線
- BANKS
- SCCS
- ACS
- しんきんネット
NICE Systemsなどが業態別にありましたが現在はBANCSに統一されました
コンビニ業界
コンビニ業界はサービス・ステーション化が進んでいます。コンビニATMが大手コンビニの店舗に広く設置されています(2013年3月末現在46,910台)。
また、各店舗には、クレジットカードや電子マネーカードの読み取り機が急速に設置されつつあります。福岡県では、コンビニ店舗内に郵便局が開かれる動きさえあります。
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