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公開日: : 最終更新日:2015/12/08
カードバカ連載 カードあれこれ 「消費者目線とは?」
半世紀近くクレレジットカード一筋に関わってきた“カードバカ”が、カードに関するあれこれを、独自の切り口で語ります。
カード研究家 小河俊紀
皆さん、こんにちは。 カード研究家の小河です。
「今さら聞けない カードって何?」(前編・後編)を終え、アップされた直後に思いがけない方から「面白かった」とお誉めをいただきました。「個人的にも、仕事面でもカードに対する認識が良い方に変わった」と。
紙メディアに原稿を書いたことは何度もありますが、ネットの反応は早い。消費者目線で語るという寄稿の意図を評価いただき、素直に感動しました。
反面、読み返してみれば、逆に言い足りない点・誤解を受けそうな箇所なども多々あり、反省もしきりです。
そこで、今回からタイトルを変え、「カードバカ連載 カードあれこれ」として、前回の連載の流れに沿って、行間に隠れている深い意味を月一回、各回完結で語っていきたいと思います。今まで、誰にも話したことがないことも含めて。
キャッシュレスを本当に理解すると、あなたの人生が便利で楽しく変わるかも!
消費者目線とは何?
前回の連載で、「日本には、クレジットカードの実務を踏まえた正しい消費者向け手引書は、ほとんど実在しない」と、自分を育ててくれた恩義ある世界をバッサリ切り倒しました。語弊がありそうなので、初回はまずこの点から補足します。
私自身が「消費者目線」という概念を本当に分っているかというと、「そういう業務経験がカード業界では多いほうだった」というだけで、まだまだ未熟です。
なぜなら、一口に「消費者」と言っても、非常に幅広く、奥深い世界だからです。職業、年齢、性別、立場など千差万別だからです。そして、それは時代とともにどんどん変化します。10把一絡げにはできません。
実は、「消費者の視点で自社を観る」という概念を学んだのは、ほかならぬ古巣の大手カード会社在職中です。1987年、39歳の時でした。
当時は、良いものを作れば必ず売れる“大量生産・大量消費”の時代でした。バブルの頂点でした。ですから、企業が自社の商品や社会的責任を、消費者の立場で客観的に見る「消費者目線」(CSR)という認識が低い時代でした。
ところが、「カード会社の財産は、加盟店とカード会員しかない。大切な無形資産である割に、日常的に直接接する機会が少ない。
特に、カード会員とは電話・印刷物しか接点がないため、業容拡大に伴って会員一人一人を砂粒のように軽い感覚で見る危険性がある。
今後、自社の対外的印刷物、出版物はもちろん、社内帳票や専門用語も、消費者目線で総点検し、“分かりにくいもの、不快なもの”をすべて排除せよ」という社長特命が下り、専従者として私は総務部に配属されました。
まだネットがない時代でしたので、さぞや簡単な作業だろうと思われるでしょうが、とんでもありません。
全社・全部門から新規作成、もしくは増刷のため申請されてくる印刷物、帳票見本は、1日平均数十点、1点数十枚を超えるものもあり、それを毎日隅々までチェックするのです。数字の間違いは無論のこと、「て・に・お・は」の文法まで訂正しました。
見本に添えられた作成申請書には、担当役員や部長の承認印が押捺されているものもあります。
格下の調査役(課長)に過ぎない私の判断で訂正・却下が許されていましたので、申請部署から見れば、私は戦前の特高警察のような存在に見えたらしく、メンツがつぶれた部門長の中には「検閲をしているのは誰だ!」と怒鳴り込んでくる方もいました。
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