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公開日: : 最終更新日:2014/08/05

庶民金融と金貸しの生い立ち

庶民金融とは、金貸しが個人や零細企業に対して行う小口、短期の融資のことです。銀行による個人向け小口融資は1929年に日本昼夜銀行が行ったものがこの種小口融資の始まりと言われています。信用金庫も個人向け融資を行いました。

しかし、これらの銀行融資は太平洋戦争の戦時体制でストップをかけられました。庶民金融に対し大口金融という言葉があります。大企業に対して銀行が行う多額、長期の金融を意味しています。以下、銀行融資以外の貸し手の横顔や生い立ちを調べてみましょう。

庶民金融

6世紀 時の権力者、聖徳太子の庇護の下、お寺さんが金貸しを始めました。なぜお寺が?と思われる方が多いと思います。当時は治安が悪く、火事も多かったようです。
お寺さんは、境内が広く収納場所もしっかりしていたので、金持ちは持っているお金をお寺さんに預けました。頭の良いお坊さんさんが思いつき、このお金を貧しい信者に貸して僅かに御礼をもらうようになったと伝えられます。これがわが国における金貸しの始りと学者は言っています。
鎌倉。室町時代 土倉…板壁の上に石灰や牡蠣がらを塗りたくり頑丈にした土蔵、すなわち「土倉」をもつ金融業者が生まれました。これがやがて「質屋」に発展していきます。
質屋…ある品物を預かりこれを値踏みしてその範囲内でお金を貸す営業方法が鎌倉時代に確立されました。これがその後の金貸しの主流になります
両替商…金・銀・銅の交換をする商売や金貸し業が始まりました。
江戸時代 次に述べるようにいろいろな名前で呼ばれる金貸し業者が活躍しました。これらの業者は、ヤクザが絡んだ場合は別として、取締法もろくにないいわば無法時代で営業していましたが、高金利をむさぼる業者もおらず、庶民の日常生活にすんなりと溶け込んでいたようです。
札差し…幕府から給料としてお米を貰う(蔵米)旗本や御家人を相手にお米の受取・売却を代行し、給料が出るまでの短期間のつなぎ融資も行った業者です。蔵前を担保とした高給官僚を相手とした豪商です。
質屋…鎌倉時代から続く貸し手の代表格となります。七つや、一六などの別称があります。1960年ごろまで庶民金融の代表的な担い手となりましたが、1970年ごろ発生した団地金融(サラ金の前身)によりその座を奪われました。七つ屋、一六銀行などの別称があります。
両替屋…室町時代に誕生した両替商は江戸時代に入ってその地位を確立しました。当時、金、銀、銅の間の交換レートは現在でいう変動相場制でした。小判、丁銀、銭貨を手数料を取って交換・売買する仕事(現在の為替業務)を行い、次第に遠隔地への送金業務や投機にも手を広げてきました。手元資金が豊富な大店が活躍しました。
百一文…「宵越しの金をもたね―」と啖呵をきる江戸っ子を相手に、朝、百文貸して、夕方101文返してもらった金貸しのことです。
からす金…朝、烏がカアと鳴くごろお金を貸す人、百一文と同じです。
座頭貸し…幕府の監督の下、目の不自由な人(盲人、検校など)があんま、はり、びわ法師等の仕事で得た収入を元手に小金を貸し付けました。
日銭貸し(日貸し)…毎日少しづつ返してもらう約束でお金を貸す金貸し現在の分割払いの萌芽が窺えます。
昭和初期
信用貸しの始まり
マルイト呉服店が現在でいう信用貸しを始めました。呉服屋が金融業?関係ないみたいですね。しかし、あったのです。現在もそうですが花嫁衣裳は高価なものでした。
母親と娘が来店し、いろいろと品選びをします。数点を選び出し家に持って帰って父親に相談したいと言い出します。呉服屋としては高価な品を一見の客に渡してしまうことはためらわれます。
しかし、そこは商売です。客の態度や言葉使いなどで相手を判断し、どうぞと言います。これが「信用貸し」、いまのクレジットカードの審査の始まりで、会員の申込みの可否を判断するのと同じです。
「信用貸し」の始まりでした。これが、後日、丸い百貨店の「赤いカード」、日本信販の「チェーン・クレジット」、ならびに三洋商事や関西金融(いずれも現在のSMBCコンシューマーファイナンスの前身です)に引き継がれてきた、と筆者は考えています。クレジットカード会社誕生の萌芽です。
終戦後
サラ金の始まり
戦後、ボロボロの生活から次第に消費生活が好転してきて、質屋が繁盛してきました。質屋は昭和15年の奢侈禁止令の施行によりなり商売をしにくくなり、一部は廃業、一部は古物販売業に転じ、一部はしぶとくヤミの金融業者に変身して来ました。
1965年、「勤め人信用貸し」いわゆるサラリーマン金融(サラ金、団地金融)という言葉がマスコミに生まれました(それ以前は「高利貸し」と呼ばれていました)。1970年ごろからは「団地金融」の制度が手を広げてきました。このあたりが現在の消費者金融会社の始まりと言えそうです。

ヤミ金の誕生

個人による、あるいは極めて小規模な、お上の目をくぐるヤミ金業業者の萌芽は、まず、前述した江戸時代の百一門、からす金、座等貸しなどに求められます。また、江戸幕府御家人のご隠居が武士社会から蔑まれながら、ひそかに小金を貸していた、という記録もあります。

次いで昭和15年に施行された七七禁止令(奢侈品等製造販売制限規則)により質屋を廃業し裏口営業に転じて個人的に金を貸す人たちが増えました。平成10年の貸金業規正法の大幅改定により地下に潜った消費者金融業者がヤミ金グループに入っていきました。

1970年代に入ると、消費者金融業者の過酷な取立てや借金苦による自殺、過払い金問題等がクローズアップされ社会問題となりました。これが貸金業規正法の厳しい取締の口火を切りました。自業自得、彼らは自分で自分の首を絞めたのです。

消費者金融業者の誕生

前に、1960年ごろ質屋が廃業し、一部が細々と個人で金貸し、つまりサラ金を始めたと書きました。これが消費者金融の始まりと言われています。主な金融業者の名前を書いておきます。

1959年 三洋信販(当時三洋商事と称しました)
1960年 アコム (大坂、当時のマルイト呉服店)
1961年 プロミス
1966年 武富士 (東京)
1967年 アイフル(当時、松原産業)
同上 日本ダイナースクラブがクレジットカードによるキャッシングサービスを開始しました。
1968年 大坂の11の業者共同して、業界の健全な発展を目的として日本消費者金融協会(JCFA)を設立しました。
1972年 JCFAが研究会を設けて、消費者金業者の信用情報の共用を目的とした「㈱レンダースエクスチェンジ」と称する個人信用状機関を設立しました。わが国の消費者金融業界の信用情報機関の第1号です。
同上 銀行がカードローン(庶民ローン)を開始しました。
1977年 アメリカの大手消費者金融会社 アプコ・フィナンシャル・サービスが日本で営業を始めました。
1978年 ジャパン・ハワイ・ファイナンス、ハウスホールド、アイクが次々と参入してきました。

 

この頃から、強引な取立て、借金苦による自殺などの社会問題が大きく取上げられるようになり、国が貸金業規正法の制定にむけて動き出しました。業界は、暴力的取立て行為を野放しにして、自分で自分の首を絞める道を辿ってきたわけです。

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