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公開日: : 最終更新日:2016/08/25

カードバカ連載 カードあれこれ 第12回 「未来予測の3回連載 アップ後の余話」

半世紀近くクレレジットカード一筋に関わってきた“カードバカ”が、カードに関するあれこれを、独自の切り口で語ります。

                                    カード研究家 小河俊紀

200000皆さん、こんにちは。カード研究家の小河です。

ここ3回は、カードの未来を独自に描いてみました。

全体に、誰も考えない突拍子もない視点で書きましたので、読者の皆様の大半は「小河という男は、頭の回路がどこか切れているか、混線しているのでは?」と思われたでしょう。ごもっともです。

特に、1985年リリースの名作「バック・トウ・ザ・ヒューチャー」を題材にしたVol.1では、過ぎ去った過去30年を振り返り、15年後2030年の「長寿社会でのカード」を書きました。

幸い、知人数名の方から、「突飛な視点だけど、大変面白かった」とコメントいただき、少し安堵した次第です。

未来を創るカード業界経験者の努力義務

「バック・トウ・ザ・ヒューチャー」で語られた世界観とは「未来は、白紙だ。既定されたものではない」との楽観的未来論です。

過去の結果が現在ならば、現在の結果が未来になる。未来は、描いた人の想像力と、多数の人の共有で築かれる、と。まったく、同感です。

「日本にカード文化が根付くためには、カード業界に身を置く当事者が、カードの素晴らしさを根気強く発信すべき」と信じ、ここ10年来私は様々に行動してきました。

例えば、2007年に、B2B(企業間取引)のビジネスモデル特許を自費で取得し、カードによる中小企業の資金繰り円滑支援システムの構築を提言し続けてきました。

関係者へのアプローチはもちろん、論文や講演を何度も実施してきました。

スケールが大き過ぎてなかなか理解されませんが、決済代行事業者台頭の予測は的中しました。ネットの世界での実現予測も、アマゾンや楽天が近年リリースした出店者向け類似与信モデルで現実化してきました。

忍耐強く主張し続ければ、時代の要請がいつか本格浮上することを期待するのみです。

最近では、放送大学での市民向け対面講義、そしてこのサイト連載執筆で、「消費者啓蒙」という喫緊の課題に挑戦しています。

実は、このふたつはまったく別なルートから同じ趣旨で同じタイミング(2014年春)でオファーをいただきました。

「一般消費者にカードの世界を語ってほしい」と。

過去に前例がない試みであることが、私の好奇心をくすぐりました。クレジットカードについて、一般市民に語る正規の大学講義は、前例がありません。

学問としての歴史・蓄積がないからです。言い換えると、経済学、社会学、会計学、心理学、情報科学、経営学など多種多様な領域を横断しているので、体系だった学問には容易になりえないのです。

学問になるまで、熟練した経験者が“語り部”として次世代にリレーするしかありません。

また、カード業界の過去・現在・未来について、実務経験者が不特定多数の消費者に実名で語り掛けるネット連載も前例がありません。現役の立場では制約が多くて書けないし、かなりの勇気がいります。

もはや60代半ばを過ぎた前期高齢者の私ですが、「利害を超えて、小河なりの立場と長い経験をベースに、未来に向けて独自の主張をせよ」との啓示(錯覚?)が活力源なのです。

不思議な めぐり合わせ

図らずも、ふたつの試みに着手した直後の2014年6月、「世界で最もクレジットカードが使いやすい安心・安全な国 日本の実現」について閣議決定がなされ、2020年東京オリンピック・パラリンピックにむけて、カードは国策となりました。

思いがけない追い風を受けて、カード業界のそれぞれの立場で高度な経験を積まれた専門家3名に放送大学での講義連携をお願いしたところ、皆様即座に快諾いただけました。

入念な準備をして迎えた昨年4月の開講直前に、著名な講師Mさんの急病と交代というアクシデントもありましたが、何とか放送大学神奈川学習センターでの面接授業(スクーリング)実現にこぎつけました。

その模様の一部は、この連載9回目でも書きました。

講義の統一テーマは、「現金社会からの脱皮」とし、「2020年に、日本はアメリカ並みのキャッシュレス国家になれるか?」という突飛なものでした。

現金大国日本が、わずか5年で、カード決済率15.6%から米国並みの40%(金額にして120兆円)に急成長するかと。

「正直、それはありえない」と考える自分自身の既成概念・先入観への挑戦でもありました。

下図は、その時実際使った講義テキストの一部です。

講師全員が業界出身者でもあり、「強引なお仕着せは、逆にカードへの反発が増すだけ」と、極力客観的な事実を多面的にお伝えするスタンスを心がけました。

それが、結果的に受講生の皆様の共感を得られたのか、講義終了後「日本はアメリカ並みになるだろう」という肯定的意見が過半数を占め、講師一同大いに驚きました。

同時に、「カードの実像を消費者に正確に伝える重要性」も痛感した次第です。

それから1年、気のせいか2020年を意識した業界関係者の見解(書籍やサイト)が目に付くようになりました。

例えば、キャッシュレスやフィンテックの世界動向に詳しい「日本カードビジネス研究会

制作・刊行の「New PaymentT Report 2015」です。

専門性の高い同社の予測と、アナログな私の推測が奇しくも一致していることに驚きました。

また、「クレジットカード大学」というサイトでも、積極的な予測を展開しています。

キャッシュレスは世界的な奔流

「カードは危ない」と何となく敬遠気味の日本人の個人的感情とは別に、21世紀に入ってから世界的に滔々(とうとう)たるキャッシュレスの波が押し寄せています。

(下記は、前記 日本カードビジネス研究会資料)
http://blog.isijapan.co.jp/cat9503769/

 

例えば、北欧のスエーデンでは、「現金の撲滅」が国策となっています。

実際、最近同国を旅行した知人から、「VISAのクレジット、デビット、プリペイドの3種類があれば、現金はまったく要らないし、使うこともない。」と聞きました。

その辺りの事情に触れたサイトもあります。(「お金の学校」)

日本では

一方、クレジットカードが1960年に誕生して56年間、一度も国の保護・奨励策が実施されたことのない日本でも、ようやく風向きが変わり始めてきました。

一昨年の閣議決定を受けて以降、腰の重い関係省庁から矢継ぎ早に新規政策が発表されているのです。そのシンボルのようなレポートが、今年2月に経済産業省から発表されています。

「カードのビッグデータを積極活用する」という趣旨です。題して「クレジットカード産業とビッグデータに関するスタディグループ」という報告書です。

不遇な業界に44年間も住んできたカードバカの私には、一瞬我が目を疑うほどの驚きでした!

まとめ

世界には大きく後れを取りましたが、日本は歴史的に上意が示されると国を挙げて突撃する国民性なので、もしかしたら2020年に本当にキャッシュレス社会になっているかもしれません。

未来は、すぐそこです。

※前回連載の余話の今回は、いったんこれで終了します。

次回は、未来から現実に立ち戻り、別の側面からカードの事業の構造等について触れてみたいと思います。

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